進化するベアフットサイエンス あなたの足裏は情報をどれくらい“チューニング”できているか?

携帯電話、看板、テレビ広告、スマートウォッチなどウェアラブル端末。かつてないほどに、現代の私たちの神経系は絶えず情報によって過剰に刺激されています。この過剰な情報刺激、実は神経系に逆効果をもたらし、日常的に経験する外部のノイズをシャットダウン、つまり”無視すること”につながっているのです。

ここでいう“無視”とは、例えば都会に住んでいて、交通量の多い道路で常に鳴り響くクラクションや道路工事の音に気づかなかったり、騒ぐ子どもをわき目に見ながら仕事をこなしていたり……なんていう場合にも当てはまるでしょう。

 

 

 

人の動きに欠かせないノイズ

さらにもう一歩踏み込めば、これは人間の動きや、歩行中の動的バランスと姿勢コントロールを維持するための神経系の要求にも応用ができます。

人の動きの場合、神経系に伝わるノイズは、振動、関節包の伸張、質感、引っ張りなど固有受容覚から受け取る情報です。この固有受容ノイズは、衝撃力の効率的なローディングとアンローディングのために、筋肉の適切な連動に沿った活性化と安定化までの時間を確保するために欠かせません。

 

 

 

 

必要不可欠なノイズの入り口、足裏

身体と地面の唯一の接点であることから、多くの“ノイズ”が足裏を介して神経系に入ってきます。この足裏の“ノイズ”が神経系によってチューニングされなかったり、感知されなかったりすると、不正確な運動パターンや安定するまでの時間の遅れ(つまり怪我)が生じます。

そして、人の動きに不可欠なノイズを感じ取ることができない最大の原因のひとつにあげられるのが「靴」です。分厚く、クッション性があり、サポート力のある靴に滑らかなインソールを入れてしまえば、ダイナミックな動きの際にも足裏からの刺激を完全に”無視”してしまいます。

靴のクッションは、足裏の接触時の振動ノイズを吸収し、滑らかなインソールや靴下は、運動中の皮膚の伸縮や感触の知覚を妨げます。また、厚い靴底は筋腱反射の神経である、固有受容覚の反応を足裏から遠ざけ、筋腱反射に変換してしまいます。

 

 

 

足裏をノイズにチューニングする“テクスチャー インソール”

2017年4月、アメリカのナボソ社が小さな神経を刺激して足裏にアプローチするインソールを発売しました。このインソールは、ダイナミックな動きの際に足裏の不可欠なノイズを継続的に与えるようにデザインされています。これは、重心移動や足裏が地面に接地するたびに神経系の自動調整を促すことを目的にしているためです。

 

 

 

特徴であるナボソのテクスチャーがどのように人の動きに影響するか、ナボソ開発者のDr.エミリーが解説しています。

 

 

リプシッツら専門家による2015年の研究では、低グレードの振動インソールを使用することで、高齢者の姿勢コントロールが向上され、歩行のばらつきが減少することが明らかになりました。別の研究では、インソールの質感という”ノイズ”の役割と、男性サッカー選手の足首の固有受容覚に及ぼす役割についてさらに調査が行われました。興味深いことに、テクスチャーのあるインソールを使用した被験者では、足関節の位置感覚をより早く感知し、より高い力発揮が報告されました。

 

 

 

毎日の裸足トレーニングでチューニング

足裏を刺激に”チューニング”させるもうひとつの素晴らしい方法は、裸足での刺激を日常的に取り入れること。つまり、靴下を履かない、靴を履かない、柔らかいマットも使わない、ことです。

裸足での刺激を与えることで、足裏の固有受容器がより敏感に反応し、自然な動きとして統合的に機能するようになるでしょう。

 

 

 

 

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