6月 15, 2023 | ブログ, 執筆:Dr. Emily Splichal, 足・手・からだの健康
アメリカでは、毎年約80万人が罹患し、約16万人が関連死しているといわれる脳卒中。
脳卒中患者の多くは、一命を取り留めるものの、運動機能の低下など脳卒中の後遺症に直面することが少なくありません。このような症状は、日常生活を送る上で大きな支障をきたし、ひいては生活の質を低下させることになりかねません。
もしあなたやあなたの大切な人が、脳卒中の後遺症、特に歩行やバランスの維持に関する問題に直面しているなら、状況を改善するためにできることがあります。
脳卒中のリスクファクターと原因
脳卒中は、脳への血液循環が遮断され、酸素が不足し、最終的に脳細胞が死んでしまうことで起こります。そのため、脳卒中は脳梗塞とも呼ばれます。
脳が血液や酸素不足になると、数分以内に脳細胞が死滅し始め、思考、感情のコントロール、動作、言語に関する能力が損なわれます。
脳卒中の最も多いタイプは、「虚血性脳卒中」と呼ばれる血流の滞りによって引き起こされるものです。これは、首や脳にある血管内の血栓、体の他の部位から移動した血栓、脳につながる動脈の狭窄という3つの閉塞のうちのひとつによって生じます。
2つ目のタイプの脳卒中は、脳や脳周辺の出血によって起こるもので、「出血性脳卒中」と呼ばれます。
年齢、家族歴、性別など、自分ではコントロールできない危険因子もありますが、喫煙、高血圧、糖尿病、肥満、高コレステロールなどの危険因子はコントロールすることができます。

脳卒中が運動機能に与える影響
脳卒中は、世界中で最も一般的な身体障害の原因のひとつであり、生存者の約80%が体の片側に動作の障害を経験すると言われています。
多くの場合、麻痺は脳内の損傷が起きた側と反対側の体に起こります。例えば、脳卒中で左半球が損傷した場合、右半身に脳卒中後の麻痺の症状が出ます。
脳のさまざまな部位が損傷するため、さまざまな症状が現れますが、小脳が損傷すると、姿勢、バランス、歩行に問題が生じます。
代表的な症状(※)
脳卒中後、バランスに問題が生じることが多く、めまいを引き起こし、転倒のリスクが高まる
この一般的な歩行障害は、脳卒中後遺症の患者さんが衰弱や麻痺のために足の前部を上げられない場合に起こる
協調運動障害には、知覚・視覚の問題、めまいや運動失調(異常で協調性のない動きを伴う)の発生などさまざまな要素が絡んでいる
感覚入力の障害により、しびれやピリピリ感が生じることがある
これらの症状に加えて、視力低下や前庭系の障害(平衡感覚や空間的な方向性などの変数を制御する)が起こる可能性があり、体を安定させ、ひいては運動機能を維持するのが難しくなることもあります。
(※これらに限定されるものではありません)

回復のために何ができるのか?
上述したように、脳卒中後の歩行に関する問題には多くの要素があります。そのため、脳卒中後に運動能力を回復させることは、最重要&重大な課題のひとつなのです。
運動能力を回復させるためには “バランスと感覚問題” を解決しなければなりません。脳卒中は中枢神経系の働きを変えることが多いため、
感覚神経は身体から脳へ、またその逆のメッセージの送信に支障をきたすことがあります。
そのため、研究者は脳卒中後の歩行を改善し、神経可塑性(脳が新しい結合を形成する能力)を高めることを目的として、非侵襲的な脳刺激に注目することが少なくありません。脳の可塑性は、動物モデルでも人間でも確認されています。
脳卒中の合併症は、重症度や回復能力に個人差はありますが、目標に沿った脳卒中リハビリテーションによって、再び歩くことは可能です。
身体運動と治療
運動能力向上エクササイズと関節可動域療法(ROM)はどちらも理想的で、協調運動から筋力UPまで、筋肉の緊張を和らげる理想的な治療法です。
脳卒中後の患者さんの多くは、トレーナーや理学療法士と一緒に、一人ひとりに合ったエクササイズプランを立てて取り組んでいます。
これらのエクササイズは多くが足腰に焦点を当てたものですが、腕のエクササイズにおいても、脳卒中発症から数ヶ月、場合によっては数年後に歩行能力を改善する可能性があることが発見されています。
アメリカ生理学会による研究でも述べられているように、「関連する歩行の改善は他の治療法ほど強力ではないかもしれないが、
腕のサイクリングトレーニングは、リズミカルな歩行と協調性に寄与する、肢間ネットワークを活性化する」ことができます。

技術支援ツール
最新の研究と技術を駆使した革新的なデバイスが数多く登場しています。中でもNaboso(ナボソ)は、足裏の感覚刺激と “ベアフットサイエンス” とを融合させたものです。
足裏の神経を刺激することで、バランスと姿勢をサポートし、歩行パターンや全体的な運動制御に良い影響を与えることが分かっています 。
また、短下肢装具(AFO)も、足が下がることで生じる合併症に対処するために有効な注目の分野です。この場合、足が下がる原因は、神経の損傷、筋力低下、またはその両方である可能性があります。
しかし、原因に関わらず、足部低下の治療には安定性を与え、積極的に歩行改善するべくAFOが使われる傾向があります。
電気神経刺激
「Journal of Rehabilitation Medicine」に掲載されたこの2018年のレビューをはじめ、さまざまな研究が経皮的電気神経刺激(TENS)の効果に着目しています。
7件のランダム化比較試験に基づき、TENSは痙縮の大幅な軽減に加え、脳卒中患者の歩行速度や静的バランスの向上と関連することが明らかにされました。
歩行能力の妨げとなる症状への対応
個々の症例はそれぞれ異なり、脳の損傷を元に戻すことはできませんが、積極的なリハビリは、特に歩行に関して長期的に最良の結果につながります。
脳卒中後の改善の可能性は、最初の欠損によって異なりますが、脳卒中生存者の65~85%は、脳卒中後6ヵ月以内に歩行を再開しています。
運動は一般的な治療法ですが、患者さんの姿勢やバランスが悪いと治療方針がさらに複雑になることもあります。
そのため、特に互いに独立した治療法でないものが推奨されます。例えば、ナボソ インソールを用いた積極的な歩行リハビリ等で、
患者さんの歩行能力改善をサポートします。
米国特許取得済みの独自のテクスチャーが感覚にアプローチし、足の健康やバランスをサポート
神経系を刺激することで、患者さんの機能を回復させ、バランスなどの要素を改善する。このような革新的な技術が人々の生活を変えています。

さらに詳しくは公式HPから!

6月 2, 2023 | ナボソを初めて使う方へ, ブログ, ベアフットサイエンス, 執筆:Dr. Emily Splichal
“新しいアイデア や 感覚 により広がった心は、決して元の大きさに戻ることはない”
– オリバー・ウェンデル・ホームズ
私の大好きな名言のひとつです。
実は私、学びや自己拡大、自己成長に関する名言が大好きです。私たちの学習能力は決して止まることはないという信念を持っていますし、学び続けること、自分の知識や経験への挑戦を続けることは私たちの責任でもあります。

人の体、生理学、病理学に対する理解は常に拡大し続けていますから、健康やウェルネスに携わる専門家にとっては特にそう言えるでしょう。
臨床家としての私のアプローチにおいても、単なる足のバイオメカニクスや足を使ったショートフットエクササイズにとどまらず、脳や呼吸、感情、そして“ベアフットサイエンス(裸足科学)”の神経可塑性(かそせい)まで成長と拡大を絶えず続けてきました。
今回皆さんにお伝えしたいのは、表面や質感、触感を識別する能力が子どもや大人の感情の安定にどう関係しているか、という点です。
“サバイバル” から “洗練” へ

触覚は強力な入力システムです。触覚により、自らの環境を操作したり(例:足元の岩の鋭さを感じるとゆっくり歩くように指示する)、他者を介して自身の環境を操作したり(例:誰かに強く掴まれると襲われる可能性があると警告する)できます。
“進化”という点においては触覚も例外ではありません。触覚は、単に生存のため(脅威かどうか)のものから、より具体的で識別するためのものへと変化してきました。
この高度な触覚処理は手と足の両方に及び、顕微鏡手術のような複雑な作業から点字を読むまでこなすようになりました。
今日、触覚には保護的側面と識別的側面の両方が研究者が「二元論」と呼ぶ関係を通じて存在しています。
この二元論は触覚においてバランスを要します。保護的な側面と識別的な側面が乖離すると、触覚に対する感情的な「闘争・逃走」反応が
強くなってしまいます。
触覚に敏感な子どもたち

触覚のアンバランスや触覚との関係の変化を最もよく表しているのが、触覚に敏感だったり、防衛的な子どもです。
ある布地の感触が肌に合わない、または感触のせいで特定の食べ物が食べられないという子、他の子に抱きしめられるのを嫌がったり、他の人の近くにいると不安や敵意を抱いたりする子どももいると聞いたことはありませんか?
これらは、触覚が子どもの交感神経/闘争/逃走反応を引き起こすほんの一例にすぎません。
このような子どもたちが触られたり、防御的な感触のものに触れたりすると、コルチゾールの上昇は、たとえ子どもであっても免疫系(自己免疫疾患やアレルギー)、脂肪沈着(子どもの肥満の増加)、学習・記憶(ADHD、自閉症、うつ病)に悪影響を及ぼすことが認められています。
これが、私がいつも「認知よりも感覚を優先する」と言う理由です。
子どもたちの認知機能(学習、記憶、注意力)を最適に発達させるためには、感覚刺激の土台となるもの、そして感覚刺激と子どもたちの関係が健全であることを確認する必要があるのです。
※このトピックについてもっと知りたい方はA.J.エアーズの感覚統合に関する著書をご覧ください
ベアフットサイエンスで触覚&感情のバランスを取り戻す

感覚統合に関しては、幼少期の発達段階で最適化するべき3つの主要な領域:「前庭覚」「固有受容覚」「触覚」があります。
興味深いことに、これらの領域は人間の運動機能を可能にする主な体性感覚入力システムであり、人間の運動機能はより高度な認知機能や感情認識と結びついています。
裸足は、触覚と固定受容感覚に富み、直立姿勢では身体と地面との唯一の接点。
子どもたちの靴の使用頻度の増加や早期化、足裏の感覚刺激や探求の減少が、ADHD、感覚処理障がい、感情的断絶、子どもたちの攻撃性の増加と関連しているともいわれています。
これらに関連性はあるのでしょうか?
私はそう思っています。しかし、まだ手遅れではありません。
ベアフットサイエンスへの理解から、感覚処理障がいの子どもや大人、近い症状で悩む人々を助けることができるのです。
こうした人たちに裸足の刺激を取り入れるためのオススメの方法をご紹介します。
「短い時間から始め、徐々に時間を長くする」
触覚過敏のある人はすぐに感覚疲労に陥ってしまうので、ゆっくり始めて、その反応を見て徐々に増やしていきます。刺激の量もコントロールできるようにしましょう。
「裸足での刺激を通して安全な感覚を再確認し、(生じるかもしれない)不安と闘う」
不安や懸念について話し合い、セッション中に起こる裸足や感覚的な刺激に対して精神的に準備させてあげましょう。そしてそれがいかにポジティブな連携か、足の下で感じている感触や感覚について説明してあげましょう。

「最初のうちは、鋭く輪郭がはっきりとした質感は避け、より強く広い範囲の刺激から始める」
平らな石から小さな石へ、テクスチャーへの慣れを見ながら段階的に進めるのが良いでしょう。
「裸足の刺激が神経等の感覚刺激にも関わっていることを理解し、日々のトレーニングに足裏への刺激を組み込む」
自律神経系のバランスを保つために、トレーニング中や日常生活で足裏を刺激することをオススメします。迷走神経のトレーニング、横隔膜呼吸、頭蓋仙骨両方のプログラミングにナボソ マットやナボソ インソールを使って足への刺激を取り入れましょう。


5月 15, 2023 | ナボソを初めて使う方へ, ブログ, 執筆:Dr. Emily Splichal, 足・手・からだの健康
健康やウェルビーイング全般において共通して言えること――それは “最大の効果を与え得るのは日々の継続的な習慣”ということ。私から患者さんへの最大のアドバイスのひとつでもあります。
朝の歯磨きであれ、足裏マッサージであれ、カラダに良いことを毎日継続して行うと、時間の経過とともに大きな蓄積効果が生まれます。
この一貫性の力をさらに理解するためには、老化や病気、ほとんどの怪我がゆっくりと進行するものであることを理解することが重要です。日々のストレスはだんだん蓄積され、最終的にシステムの故障を引き起こすのです。

例えば、足底筋膜炎など軟部組織の損傷は組織に繰り返し過負荷がかかった後に発生します。多くの場合、長時間にわたって足を使い続けることで生じるものなのです。
かかとの痛みや足底筋膜に負荷がかかるのを効果的に予防するには、ライフスタイルの一部ともなる毎日の習慣が重要に。
私が患者さんにオススメしている5つの習慣をご紹介します。
①足裏のリリース
ナボソ ニューロボールを使った足裏のリリース:ほぐし は、日常的に酷使している足裏の筋肉へのストレスを解消し、元の状態に戻す簡単な方法。1日2回、歯を磨く時にでも5分間行うだけで、足底筋膜や腱などへのストレスを軽減するのに効果的です。
➁足裏のアクティベーション
私たちの足の裏には17の小さな筋肉があり、足のサポートや衝撃力の吸収に重要な役割を担っています。自分の足型や履いている靴の種類によってはこうした内在筋が弱っている場合があり、日々の足裏のアクティベーション:機能の活性化が必要です。
足裏の筋肉を目覚めさせるには、裸足で30秒間片足立ちします。さらに活性化させるなら、つま先を地面に押し付けるようにします。
片足2回ずつできればOK!

ナボソ ニューロボールを使った簡単エクササイズもオススメです。
③足裏の感覚刺激
足の裏には何千もの神経が通っています。その感覚を鍛えるには、足裏を刺激する必要があります。
1日30分以上、家の中やナボソマットの上を裸足で歩き回るのがオススメ。

職場や自宅で立っているときに。使いやすい小さめサイズ
ナボソ スタンディングマット
天気がよければぜひ外で! 裸足で歩くことでアーシングの効果も得られます。
④足裏の保湿
カラダの中で足ほど負荷がかかる部位はありません。タコや角質、水虫、靴擦れなど、ストレスの積み重ねは大きなダメージを与えます。足の皮膚は毎日ケアしましょう。
マイルドな角質除去作用がある尿素が入った製品を毎日使用することで、足の保湿だけでなく、皮膚が分厚くなってしまうのを軽減できます。
デイリーの保湿に加え、週に一度、軽石や足裏用やすりを使った角質除去をするのも効果的!

⑤サプリメントの摂取
毎日のサプリメントは、食事だけでは補いきれない栄養やタンパク質補給に最適な方法です。
加齢とともに体内の酵素の生産量が減少するため、一定レベルの健康を維持するためにはサプリメントも有効です。

ドクター開発!
ビタミンAと栄養バランスにこだわったアクティブサプリ
すべてのサプリメント同様、ここでも継続することが重要に。カラダへの影響はゆっくりで、蓄積され、他の健康的な習慣にも関係することが多いからです。私は患者さんに、その効果を評価する前に3ヵ月継続して摂取するようアドバイスしています。
最後にもう一度おさらいです。
- 足裏のリリース
- 足裏のアクティベーション
- 足裏の感覚刺激
- 足裏の保湿
- サプリメントの摂取
今日お話しした健康的な足の習慣はまさに「習慣」。定着するまで最低でも2ヵ月ほどかかるといわれます。
足の健康に一番大事なのは、こうした一つひとつを止めずに続けること、です!
Naboso(ナボソ)製品はこちらからチェック!
4月 28, 2023 | ブログ, 執筆:Dr. Emily Splichal, 目的にあわせたナボソ活用術
スイングの準備、足への体重配分……ゴルフほど微妙な動きのパターンを持つスポーツはないでしょう。
ゴルフのスイングは細かい動きが多く、このパターンを完成させるのは難しい場合があります。
最高のパフォーマンスを達成するには、足と体の高い意識が必要です。
ナボソは、この“足と体の意識”を大切にし「足と体の意識改革」に取り組んでいます。
そこで、ゴルフ市場に向けたインソールの有効性を調査するために、パイロットスタディ:予備調査を実施しました。
Naboso Golf Pilot Study(ナボソ ゴルフ パイロットスタディ)
さまざまなレベルのゴルファー50名が「ナボソアクティベーションインソール」を装着のうえラウンド。プレー後、アンケートに回答し体験談を語ってもらいました。

その結果分かったことです:
①50人のゴルファーのうち、85%が本調査前にナボソのインソールを聞いたことも試したこともない、と回答。これは私たちナボソによって新しいお客さんの反応を知る良い機会となりました。
➁94%がラウンド中に足の意識と圧力分散が高まったと実感。あるゴルファーは「インソールのテクスチャーからの絶え間ない刺激により、足と地形をより意識するようになった」と述べています。
③87%が、ゴルフのプレーに関連するインソールの利点を実感したと回答。「間違いなく今年のベストラウンドの一打があった。自分のショットに一貫性があるようにも感じた。足の意識が高まったからだと思う」と語ったゴルファーもいました。
④98%が「また履きたい」「ゴルフシューズ用に購入したい」と回答。製品を試した人が再度購入したいか、ゴルフをするときの定番アイテムにしたいかどうか、を問うアンケート結果としてはとても嬉しいものでした。

「これからはラウンドのたびに履くことになりそう」
「もう手放せません!」
「はい、ゴルフシューズの備え付けアイテムですね」
……こうしたコメントからどんなことを感じ取れるでしょうか?
ゴルフ中は足の意識を高めることが重要であり、その目標を達成するためのアイテムとしてナボソのテクスチャーインソールが機能します。
足裏のユニークな特徴を理解することで、足と神経系のつながりを意識しさらなるパフォーマンスUPを狙いましょう!
アクティベーションインソール、詳しくはナボソ公式HPでご覧ください!

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「あなたに最適なインソールは?」
4月 17, 2023 | ブログ, ベアフットサイエンス, 執筆:Dr. Emily Splichal
私たちが毎日行っている最も感覚的に複雑な動作が“歩行” であり、そしてその動作パターンを司る感覚的刺激が “重力” です。
肩にかかっているこの重力も、私たちが地球上にいることを神経システムに思い起こさせるだけでなく “身体意識” なるものを構築してくれています。
身体意識、または環境に対する自己意識は、空間で私たちのカラダを操縦する際にダイナミックに効率を最大化し、けがを最小限に抑える上でなくてはならないものです。
重力と全体としての身体意識
重力や身体意識、歩行の動的制御について考える時、私たちはカラダをより小さな部位や関節をもつ包括的な部位だと考えがちです。
カラダ本体には重心、カラダが安定する中心があり、L5/S1(腰椎の5番目と仙骨の間)のすぐ下、カラダの前面にあります。
重心が動くと、動作が生じ、これにより歩行の場合に動きが調整されることも、調整されずに転倒することもあるというわけです。
こうした動きが調整されるかどうかを決めるのは、重力との関係、また重心の動きの認識です。さらに言えば、この重力の認識や関係は、カラダ全体としてだけでなく各関節や局所的にも起こっているのです。
重力と局所関節位置覚
私たちの関節は、固有受容感覚と関節周りの組織の張力から重力を認識します。これを関節位置覚といいます。
関節位置覚は、簡単に言えば関節をコントロールする感覚です。関節自体を感じるだけでなく、関節の動きを認識できることが重要です。さらに、関節が動く速さ次第で関節をコントロールする力が決まります。簡単な例をみてみましょう。
関節位置覚と足首の捻挫
関節に特定した身体意識の一例に、地面に対する足と足首の認識、感覚があります。例えば縁石から降りるとき、正確な足の配置は、縁石の高さを感知する能力と足を下ろす際の加速、足首関節位置覚のタイミングに左右されます。足の感覚が遅れたり違えたりすると、踏み間違えたり足首を捻挫することも。疲労やケガ歴、年齢、靴は皆すべて、足の感覚や地面の認識の遅れに影響し得るのです。

重力感知と身体意識の向上
ナボソでは、運動障がいや慢性の神経学的状態(重力、カラダ、関節を認識する神経系の能力を大きく変える状態)を抱える多くの人たちと仕事をしています。
研究では、重心移動での遅延認識と転倒リスクの直接的な相関関係を示しています。動作の協調を強化し、こうした人々が転倒してしまうのを減らすための私たちの優先事項、最初のステップはまず彼らの全身の身体意識と局部ごとの関節位置覚を高めることです。これはつまり、重力の認識を高めるために、神経系に目を向けること。重力は圧力、張力、振動、であるということを忘れずに。
それでは、重力の認識と身体意識を高めるための方法、私たちのお気に入りを3つご紹介します。
重力感知スキル① 加重ベストと手首ウェイト
“加重ブランケット”の広告を見たことはありませんか? 不安を落ち着かせたり、よく眠れるようになると謳っているものです。
こうしたアイテムは「ここにいるよ!」と主張し、カラダとよりつながりやすいです。感知力の低い人にとって、この加えられた重さが
重力刺激の感覚値を上げるのに役立つのです。
研究によるとバランス障がいや脳卒中後、脊髄損傷のある人に加重ベストの効果が実証されています。同様に、手首ウェイトは歩行の際の重要な協調動作パターン、両腕のスイングを強化するのに役立ちます。
重力感知スキル➁ キネシオテープ&着圧ウェア
“キネシオテープ” がオリンピック選手の間で大流行したのを覚えていませんか? 現在では、関節位置覚を向上させることが実証されています。皮下筋膜や固有受容器への刺激を通して、キネシオテープは関節の動きの認識を速めるサポートをします。テープ同様、着圧も筋膜固有受容器を刺激することができます。
重力感知スキル③ 裸足への刺激と新“感覚”インソール
最後に、身体意識を高めるための最終にして最大のオススメ……それは、足への刺激です。
重力、カラダ、地面との相互作用はすべて動的な動きと直立姿勢にとって重要な要素。地面からの重力は、静的には圧力として、動的には振動として感知されますが、サポート力のある靴やクッション性のある靴は、足を通しての重力の感覚的な刺激を遮断します。
クッション性の高い靴からミニマルな靴に変えることで、この“感覚的ブロック”は多少マシになりますがそれでもまだ存在はします。そこで活躍するのが ナボソ テクノロジー! 感覚にアプローチするインソールです。

足から姿勢、バランス、歩行をサポートする
テクスチャーインソール

靴の内側に薄型のテクスチャーを入れることで、足への感覚的な刺激を高めます。
事実、2016年の研究では、このナボソのテクスチャーインソールをダンサーが使用し、足首の関節位置覚が向上したことが実証されました。
* * *
身体意識と最適な動きにおける重力の役割について考えるならば、歩こうとしている赤ちゃんからアスリート、さらに脳卒中から回復した患者まですべての人にどのように適用できるかを考えなくてはなりません。
神経系、それは重力との関係によって形作られ、試され、定義される魅力的な構造です。